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ナソ、ムノについて、教えます?

つぼだけでは表せない有効な治療するポイント

私は、東洋はり医学会の会員で「東洋はり医学会方式の経絡治療」を行って、鍼灸治療をしています。
東洋はり医学会は、初めのころ、視覚に障害のある先生方が中心になって、作られた、鍼灸の勉強会です。

したがって、その勉強会で使われる教科書も、活字ではなく、点字でした。指導してくださる先生方の並々ならない努力と、臨床の積み重ねで、今日があるわけですが、その過程において、治療するポイントで、有効なところ、つぼだけでは表せないところもあることがわかってきました。

その場所に、「ナソ」と「ムノ」というところがあります。

人間の体では、医学用語としてこのような「ナソ」や「ムノ」などという言葉は存在しません。
これは、一種のニックネームのようなもので、頸を中心にしたところに表れる反応やそれに対してはりをする治療店に対して、「ナソ」という言葉で表したものです。

場所としては、鎖骨という胸の上にある丸く曲がった骨と、頸から肩の筋肉がありますが、そこに指を当てると三角形の窪みがあると思います。その中心に、「欠盆穴」というつぼがあります。

そのツボを中心に耳に向かった部分、肩から腕に向かった部分、肩から肩甲骨と背骨との間あたりの背中の部分、この辺りまでを、東洋はり医学界では「ナソ」と呼んでいます。

この「ナソ」という言葉の由来は、点字で書くと、「頸腕症候群)の、「けいのk」と「わんのw」という頭文字を「kw」というこじつけで表したところから、とったものです。

点字というものは、もともとはアルファベットで表されていたものを、明治時代になって日本人の盲人の人にも使えるように、50音に改良して、今も使われていますが、日本語と、アルファベットとの使い分けは、アルファベットを表す記号をくっつけたときには「アルファベット」となり、つけないときには日本語として区別して使っています。

先ほど頭文字をとって、「kw」と書きましたが、「アルファベット記号」をつけないで、日本語読みをすると、kは「な」、wは「そ」と読むことになります。

頸腕をけいわんという音読みをして頭文字を当てはめ、kwという表記をして、それをさらに日本語読みに直して「なそ」という呼称にしたということです。

点字を使う盲人の人にしかわからない暗号ですね。ちなみに点字そのものが暗号であるということでなりたっている文字ということになります。

まあ、治験例や、症例で、ナソという言葉が出てきたら、ニックネームであると思ってください。場所は頸を中心としたところです。

それと、「ムノ」というところもあります。

場所としては、前側では、左右の腿の付け根鼠蹊部と呼ばれるところ、外側のほうへ行って、腿の外側でお尻の窪みの中に腿骨頭股関節の骨、後ろでは、尾てい骨、お尻の骨、仙骨と呼ばれる骨の脇のお尻の肉があるところあたりまでと、考えてください。

それを日本語で「腰仙部(用船部)」と表して、「ようはy」、「せんはs」ということにしたわけです。

そのアルファベット記号を抜いて日本語読みにしたときに、50音では、『yは「無」、sは「の」』ということになりますので、「ムノ」という呼称を付けました。

書いていても、私もよくわからなくなってきました。「ムノ」の治療は腰より下の足や骨盤内臓の疾患で有効な場所ということになります。

ナソ、ムノの詳しい説明は、時々行っていきたいと思いますが、今回は、この辺で・・・。ナソ、ムノは、おおよそ頸腕、腰足と考えておいてもらえればよいと思います。