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  • 治療事例紹介-冷え症の症例

治療事例紹介

当院で行う鍼治療は、経絡治療(けいらくちりょう)と呼ばれている治療です。簡単に説明しますと、人間の体には、気血というものが存在し、それを循環させているのが「経絡」で、その流れを正しく調整することによって、病気を治すという治療です。体に異変が起きると経穴(以後つぼと記載します)にはっきりと現れます。

体にあるつぼに鍼や灸をすることにより、人間本来の持っている機能を調整し、病気を治していきます。

ここでは、当院で治療をさせていただいた症例をご紹介いたします。

文章中の専門用語は、言葉を置き換えるとかえってわかり難くなってしまうため、そのまま使っております。文字の下に点線アンダーラインがある用語にマウスを重なると、簡単な説明が表示されます。また、末尾に用語説明を記載いたしております。

女性に多い冷え性-はり灸で改善します

鍼灸治療を受けられる多くの方に、この[冷え]を伴う症状を訴えて来院される方が、非常に多く見られます。

「冷え性の症例」と言っても症状は様々で、足先だけが冷えるもの、腰から下全体に冷えるもの、お腹や手が非常に冷たいもの、体は冷たくないのに、自覚的には常に温まらない感じを覚えているものなど人それぞれです。

本来、冷えと、冷たい感じは、区別して考えなければなりませんが、冷えは患者さん本人が自覚的に冷たさや寒さを感じているものを言いますし、冷たいは、治療科が触って判断する他覚的症状を言うものです。

しかし、おおよそは冷たさと冷えは一致していることが多いようです。

患者さんの中には、足の平や手の平が非情に、ほてっていて、気持ちが悪いという方がおられますが、これも、循環障害があって、手足に巡っている血液が、心臓のほうへ、戻りにくくなって起こっている現象ですので、冷えと取らえて良いと思います。

冷えるということは、痛みの誘発要因になりやすく、寝つきが悪くなったりいつでも眠たくなったり、便秘になったり下痢になったりと体の不調和に繋がりますので、冷えを感じている方は、食事療法とともに鍼灸治療を行い、冷えにくい体に変えていくことをお勧めいたします。

次に、少し症例をご紹介いたします。
文章中、文字の下に点線アンダーラインがある用語にマウスを重なると、簡単な説明が表示されます。

1例:初診平成15年5月女性58歳 主婦

来院時の状態:
足の冷え、数ヶ月ほど前より膝下から足首にかけて冷え、靴下を履いていても冷たい。触った感じでも膝より下側は冷たく、頚から上は熱く汗をかいている。
下腹部(へそより下側)が冷たく硬い。これは、骨盤内臓の血流が悪いことも考えられるもので、東洋はりでは、逆気があると考えられます。「逆気」とは、本来下るべき気が逆に上る症状のことです。
脈状は沈んでいて弱い。頚周りと肩、肩甲骨内側にかけてコリなどがあります。
治療方針(証):
「証」は生命力を高めることと、消化器の働きをよくするという治療方針(腎/脾相剋調整)で、足首のつぼや肘/膝内側のつぼなどを使って治療し、また、お腹、頚/背中にかけてはりを行った後、腰痛もあるので、腰と足裏に温かみを感じたら取り去る灸を行いました。

食事は根のもの(大根・レンコン・にんじん・ごぼうなど)を中心に食べてもらうようにアドバイスをさせて頂きました。

治療は、初めは1週間に2回程度で通院していただき、最後のほうは週1回の通院で治療を行ないました。20回治療し、足首にはまだ冷え感が残っているものの、ほぼ消失することが出来ました。その後、翌年も再来院され、体質改善のため治療を継続されています。

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2例:初診平成14年6月女性68歳 主婦

来院時の状態:
めまい、耳鳴り。13年11月ごろよりふらつく感じがあって疲れやすい。音が響く感じだ。足の冷えがひどい。右腕がつるなどの症状があった。足を触ると氷にでも触れているような感じである。右頚から肩にかけてコリが著しい。脈状は沈んでいて遅く弱い。  

この患者さんは、めまいと耳鳴りがひどくてそれをなんとかして欲しいということで来院されたのですが、根本的には、冷えが原因と考えられ、体全体が冷たく温かみも感じていないので、その感覚を取り戻すことを目的に患者さんにも体の冷えが治ってこないと、めまいや耳鳴りは良くなりませんと説明して治療を続けてもらいました。

治療方針(証):
「証」は生命力を高めることと、消化器の働きをよくするという治療方針(腎/脾相剋調整)で足首、肘、膝内側のつぼを使って特に右の頚から背中を中心にはりを行った後、背中の肩甲骨下側のところのつぼと足裏のつぼに温かみを感じたら取り去る灸を行ないました。

東洋はりでは、脉診(みゃくしん)をいたしますが、それが、浮いても沈んでもいない、早くも遅くも無い、強すぎず弱すぎずという脈状が良いといたしますので、この患者さんも沈んでいる脈がやや真ん中に、遅い脈が正常に、弱い脈がはっきとするようになることを目的に治療を進めて行きました。

 

初めは週2回徐々に1週間に1度の来院で6ヶ月間治療を行ないました。耳鳴り、めまいは、その日その日であったり治まったりを繰り返しましたが、足の冷えは治療の終わりごろ、冬の時季になっていましたが、氷のような冷たさは改善されていました。

 

この患者さんも数年間、当院ではり灸治療を継続され、現在も症状がひどくなると来院されております。

「かかりつけのお医者さん」などといいますが、「かかりつけの鍼灸院」として、より多くの方に愛される鍼灸院でありたいと願っております。

3例:初診平成21年10月 男性30歳

来院時の状態:
のぼせ/手足の冷え。今までの経過としては、子供の頃より手足が冷え/のぼせる、とくに冬になると顔が熱い。  

内科や整体などを受診するがあまりよくならないとのことでした。そのほか目覚めやすく、立ちくらみ、頚、肩の凝り、運動をしてもあまり汗はかかない。油っぽいものや甘いものを好んで食べるなどの症状がありました。

腹はやや硬くて上腹部につやがない。脈を見ますと、浮いていて速く強い。体の状態は、筋肉質で頑丈そうでありましたが、上半身が触っても熱くなっていて、手足が冷たくやや湿り気がありました。

治療方針(証):
治療としては典型的な逆気症状でありましたので、手足の方へ気を引き下げる目的の治療を行なうこととしました。患者さんには、冷たいものを食べ過ぎたり、甘いものや油っぽいものを食べ過ぎないように気をつけていただきました。

1回目は、肺虚肝実証という証を立て、手足のつぼにはりをした後、頚/背中/腰にはり。左右のたいけいというつぼに温灸を行ないました。1週間に1回の通院としてもらいました。

2回目から、かんこく/ごうこくという足と手のつぼを組み合わせて使うきけい灸を行ないました。

専門的になりますが、逆気して漏らすというつぼの性質がある合水穴(ごうすいけつ)を使用しました。5回目6回目は脾虚肝実証という証に換えて行い、7回目から又肺本証に戻して治療を行ないました。

 

9回目では調子が良くなってきましたので、翌月からは、2週間に1回の来院に減らし、特にのぼせやすくなる冬でも、いつもの年よりかなり良いという状態になりましたので、15回で完治としました。

 

私が触った感じでも、体の熱い感じもかなり治まり、早かった脈も正常になってきましたので著しい逆気症状は治まってくれたものと思われます。

用語説明:

注1:証(あかし)
東洋鍼灸治療では、治療を進めるにあたり、証(あかし)を決定します。証とは、体のどのつぼに鍼やお灸をするのかを決定する、治療方針のことです。
注2:きけい灸
きけい治療(灸)とは、経絡治療の中の一つの治療方法で手と足からそれぞれ一つずつ、つぼを選んで組み合わせ、鍼の材質や灸の数に差をつけることによって、プラスとマイナスの働きを利用した治療法。

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