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肩関節周囲炎(50肩)の治療

はり灸で肩関節周囲炎(50肩)や40肩の痛みを改善

肩関節周囲炎(50肩)や40肩の痛みの症例をご紹介いたします。文字背景にピンク色がある用語は、本文末尾に簡単な用語説明を記載いたしておりますので必要に応じてご覧ください。


1例:患者 男性 49歳 会社員

来院時の状態:
左腕の痛み。この患者さんは2週間ほど前に突然背中から肩にかけて痛み出し、夜痛みのため目覚めるということで運転することも多く不自由を感じていられたとのことです。
脈は沈んでいて遅く弱い。腹部は大腹が冷たく弱い。皮膚は冷たい。しかし、頑健でもあり、わりと日が立っていなかったので、予後は良と思いました。
治療方針(証)
証は肺/肝相国調整という治療方針で、右太淵/太白に補法。左対衝よりより瀉法。三焦経に補法。腹/頚/背中に刺鍼。特に第7頸椎右側と第7胸椎右側に補鍼。頚に温灸と左陽谷に点灸7回。

三日後の来院では腕の痛みは消失し、5回目の治療で頚肩を動かしても痛みが出なくなっていましたので、治癒といたしました。


2例:患者 女性 70歳

来院時の状態:
左腕の痛み。この患者さんは糖尿病で高血圧がありました。半年くらい前から両肩が痛み出し、右のほうは病院で注射などの治療でよくなりましたが、左側は痛みが取れないということで来院され、左肩関節周囲の筋力低下が見られました。
脈は沈んでいて、遅く強い。腹は大腹がつめたい。夜間痛有り。
治療方針(証):
証は体の緊張を緩和させる目的(肺虚肝実証)という治療方針で右太淵/太白に補法。左対衝より瀉法。胆経に瀉法。頚周りのこり所見に対して刺鍼。左腕に散鍼(ちらしん)、肩関節に温灸。

このような治療を三日に1回の割合で続けてもらい、17回目頃より肩の稼動域が広がり始め、27回目より痛みが少なくなり始め、治療4ヶ月でほぼ痛みが消失し、肩も支障なく動かせるようになりましたので、治癒としました。


3例:患者 女性 83歳

来院時の状態:
右腕の痛み。最近急激に腕が痛みだし、動かすことが出来なくなった。腰痛もある。高血圧。夜間痛と右肩関節の筋肉に萎縮が見られる。
脈は沈んでいて速く弱い。腹は全体的に力がない。
治療方針(証):
証は腎/脾相剋調整という治療方針で左復溜/尺沢/右陰陵泉に補法。胆経/胃経/大腸経より瀉法。右頚背中を中心に補鍼。頚と曲下部に温灸。

このような治療を2回行ない、あまり芳しくないので、証を肺本証に換えて、1ヶ月治療を続けたところ、痛みは多少残っていましたが、動かせるようになり治療を終了としました。翌年腰痛で再来院されたときに尋ねるとあれから肩の痛みは無くなったとのことでした。

肩や腕の痛みは自発痛があるときや夜間通が出ているときは、わりと皆さん一生懸命通院してくれますが、ある程度痛みが治まってくると、角度によっては痛みがあるものの、気をつけて動かしていれば動かせないということはないので、治療が知りきれトンボのようになってしまうことが残念ながらあります。

しかし、はりは体の中に影響力が残っていますので、多少痛みがあっても良い方向へ向かわせますし、「こんなものか」と思われる人もいますが、「こんなもの」と思えるようになったのは、実は、はり治療の効果なのです。そのことを、患者さんも気づき理解して頂けるとよいのですが・・・。


用語説明:

証(あかし)
東洋鍼灸治療では、治療を進めるにあたり、証(あかし)を決定します。証とは、体のどのつぼに鍼やお灸をするのかを決定する、治療方針のことです。
散鍼(ちらしん)
散鍼とは、皮膚や筋肉が突っ張っていたり、大きなこりがあるところにつぼに関わり無くはりをする方法です。

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