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はり灸治療事例/頚腕(けいわん)症候群の治療

頚腕(けいわん)症候群・くびの痛み-はり灸で改善します

腰痛/肩こりとともに頚(くび)から腕にかけての痛みと痺れを訴えて来院される患者さんが多く見受けられます。頚からくる痛みと言ってもいろいろ原因はありますが、病院では頚腕症候群として一くくりにして疾患名としているようです。

この症候群も急性期のものから慢性的なものまでありますが、自発痛があるか夜間痛があるか、あるいは動かしたときだけ痛み/痺れが出るかで治り方が大きく異なります。

また、腰はわりと手術をしてしまう場合も多いようですが、頚となるとなかなか決心がつかず、治療も中断しているような場合が多く見受けられます。

次に症例をご紹介いたします。文章中の専門用語は、言葉を置き換えるとかえってわかり難くなってしまうため、そのまま使っております。文字の下に点線アンダーラインがある用語にマウスを重なると、簡単な説明が表示されます。また、末尾に用語説明を記載いたしております。

1例:初診 平成17年4月 患者 男性 51歳 事務職

来院時の状態:
左頚から肩甲骨内側と腕にかけて痛み。この患者さんはムチウチの既往症があり、1ヶ月ほど前から症状がではじめ、牽引や薬を飲んでいるが治らず痺れも出てきたので、来院されました。
脈は沈んでいて遅く弱い。腹部は全体的に張っていましたが、冷たい。皮膚も冷たく艶がない。
治療方針(証):注1
証は全身の気をめぐらすことと痛みの緩和の目的(肺/肝の和法)という治療方針で右太淵/太白に補法。左対衝に和法。三焦経/胃経より瀉法。腹部/頚周り/背中にかけて刺鍼。左腕に散ら鍼(:注2)。頚に温かみを感じたら取り去る灸と円皮鍼を貼付。

二日後来院され痛みが消失したが、また痛み出したということで証を腎虚脾実証に変えて治療を行ないました。

4回目に再び肺本証に戻して3回ほど治療を続けて、ほぼ頚から腕の痛みと痺れがなくなったとのことでしたので、治癒としました。

現在も時々症状が出ると来院されますが、その都度2回から3回の治療で症状は治まっています。

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2例: 初診 平成20年4月 患者 女性 44歳

来院時の状態:
右の頚から腕にかけて痛みと浮腫み。この患者さんは1年ほど前から首筋から背中にかけてつっぱり、冬などで外気に触れると指先が白くなるとのことでした。
手足に汗をかきやすく、脈は沈んでいてやや弱い。へそから下側の下腹部は小さく腹が冷たく弱い。
治療方針(証):
証は元気を取り戻すことと消化器の働きを助ける目的(腎/脾相剋調整)という治療方針で右陰谷/尺沢/左陰陵泉に補法。伊計より瀉法。

腹部、右頚から背中にかけて刺鍼。頚/肩に温かみを感じたら取り去る灸。3回目より証を脾本証に換えて、右外関/左臨泣にきけい灸(:注3)を加えました。

7回の治療で痛みと痺れての浮腫みも改善されましたので治癒といたしました。その後、来院されたときも再発は無く、手の浮腫みや汗ばみに対してはりを行なっています。

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3例:初診 平成16年4月 患者 女性 32歳

来院時の状態:
左腕の痛みと痺れ。この患者さんは3日から4日前に頚を痛めてそれから左腕に症状が出たものでした。
低血圧で皮膚は細かく非常にはりを痛がる人でした。脈は沈んでいて速く弱い。へそから下側の下腹部は小さく腹が冷たく弱い。
治療方針(証):
証は元気を取り戻すことと消化器の働きを助ける目的(腎/脾相剋調整)という治療方針で右復溜/尺沢左陰陵泉に補法。

胆経より瀉法。腹部、頚、背中にかけて補針。頚に温かみを感じたら取り去る灸。証は腎から肺/脾に変わり、10回程度行ないましたが、あまり良くならず治療中断となりました。

このように急性期でしかもわりと痛みが激しくなく、一見軽い症状に見える場合でも治りが悪くて、経過時間や症状の激しさばかりではないということをわかって頂くため、あえてご紹介しました。本当は諦めずに通院して頂きたかったのですが、残念です。

用語説明:

注1:証(あかし)
東洋鍼灸治療では、治療を進めるにあたり、証(あかし)を決定します。証とは、体のどのつぼに鍼やお灸をするのかを決定する、治療方針のことです。
注2:散鍼(ちらしん)
散鍼とは、皮膚や筋肉が突っ張っていたり、大きなこりがあるところにつぼに関わり無くはりをする方法です。
注3:きけい治療(灸)
経絡治療の中の一つの治療方法で手と足からそれぞれ一つずつ、つぼを選んで組み合わせ、鍼の材質や灸の数に差をつけることによって、プラスとマイナスの働きを利用したもので、水の流れにたとえると、充満した水を溢れさせないために、排水路に流してあげる目的で行なわれる治療法です。

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