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新潟市の泉心道鍼院よりメッセージ

2008年7月綱領解説

2011年1月26日

2008年7月綱領解説

三番目の綱領

「一つ我々は古典による経絡理論を正しく理解実践し経絡経穴の普及啓蒙に努めもって偉大な祖先の文化遺産を伝承せんことをきす。」

「文化遺産を伝承せんことをきす」とここで言っていますが、最近困ったことに京都の女子大生や名門高校野球部の監督がこともあろうに世界遺産に落書きをして、それが大問題になっています。とても困ったたことです。本人たちからすればほんの軽い気持ちでしてしまったことが、こんな大問題へと発展してしまったということでしょうが、何百年何千年と守り告がれたものに、いたずらとはいえ、それを汚す、破壊するなどの行為をしてしまえば、取り返しのつかないことになる。そのことが分かっていない。そのような考えが本人の頭の中にない及んでいないというところにこの事件は問題があると思います。

日本でも宮大工がほとんどいなくなり、古い寺院の再建が非常に難しくなってきています。補修するにしても改築するにしてもその当時に使っていた材料もなく、又長年にわたって受け継がれてきた技能が消えようとしている。作りたくても作り直せないという現実がここにあるのです。

我々の行っている経絡治療も提唱されてから役70年、東洋はり医学会もやがて50年を迎えようとしています。鍼灸術が日本に伝来されてから千数百年。その鍼灸術がみゃくみゃくと受け継がれて今日の我々があるのです。

っ現代に生きている我々も百年後五百年後千年後の鍼灸師にこの技術を残していかなければなりません。それにっ「正しく理解実践し」ということが非常に重要になります。後世に伝えていくためにはまず、自分自身が経絡治療を正しく理解実践しそれを他の人に伝えていく。そうでなければ途中で我々が今やっているものと全く違った方向性に伝承され、全く違った治療隊形が後世に伝承されることになってしまいます。我々自身が正しい経絡治療というものを身に着けていかないと経絡経穴の普及啓蒙に努めるにも偉大な祖先の文化遺産を伝承することも成し遂げられません。

初代会長福島先生は、経絡治療を世界の果てまで広げようと高い理想を掲げ、それが現在世界中に14、5支部を持つようになりました。東洋はり医学会の組織の優秀なとこ

ろ、優れているところは1年目の人も40年以上やっている人も、本部であろうと新潟支部であろうとイギリス支部であろうと、同じ基本技術に基づいて共通の理解の本で、鍼治療を行っているというところにあると思います。経絡治療を普及啓蒙するためには、まず、我々自身が行っている経絡治療の良い点、不得手な点も含めて熟知してその上で相手に進めていくということが大切です。

相手に伝えるにはまず己を知るということです。そして、経絡治療の発展のみならず、鍼灸術鍼灸行の発展を目指していくような広い心で、普及啓蒙伝承していく、そういう方向で理想は大きく高く果てしなく。しかし、現実をよく見極めて受け止めながら、小さなことから一つずつやっていきましょう。

2008年7月新潟支部定例会において 学術部副部長 今泉 聡

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