不安症群(Anxiety Disorders): パニック症、社交不安症、全般不安症などに関する東洋鍼医学的考察
こんかいは、かつての「神経症」と大きく区分されていたうちの一つである、
「不安症群」について考えていきます。
不安症群(Anxiety Disorders)は、日常生活に支障をきたすほどの過剰な恐怖や不安を特徴とする心の病気です。これらは単なる「心配性」とは異なり、身体的な症状を伴う
ことも多くあります。
「不安」そのものは危険を察知するための生存本能ですが、その反応が**「不釣り合いに大きい」**、あるいは**「対象がないのに起こる」**場合に診断の対象となります。
皆さんの中にも、特にこれといった原因も思い当たらないのに、漠然と不安を感じたり、なんだか落ち着かないなど、感じている人も、多くおられると思います。
主な種類と特徴、対処法についてまとめました。
1. 主な不安症の種類
不安症群には、現れる症状や状況によっていくつかのタイプがあります。
* **全般不安症(GAD)**
特定の理由がないにもかかわらず、仕事、健康、家族のことなど、日常のあらゆることに対して過剰に心配してしまう状態です。
* **パニック症(パニック障害)**
突然、激しい動悸、息苦しさ、めまいなどの「パニック発作」に襲われます。「
また起きるのではないか」という強い不安(予期不安)が特徴です。
* **社交不安症(SAD)**
人前で話す、注目を浴びるなどの状況で、強い緊張や恥をかくことへの恐怖を感じ、
そうした場面を避けるようになります。
* **特定の恐怖症**
高所、閉所、動物、血液など、特定の対象に対してのみ異常に強い恐怖を感じるもの
です。
* **分離不安症**
愛着を持っている存在(親や配偶者など)から離れることに耐えがたい不安を感じる状態です。
皆さんも上に掲げたものに、あてはまる、心当たりがあるなど、ありますでしょうか?
皆さんは、このような症状が出たときに、どのような対処法をしていますか?
当院に来られる患者さんでは、全般性不安症、パニック症が多く見られます。
「車の運転中にパニック発作」に襲われて、運転ができなくなるなど、かなりきつい方もおられました。
2. 特徴的な症状
身体と心の両面に症状が現れます。
| 身体的症状 | 精神的・行動的症状 |
| --- | --- |
| 動悸、息切れ、胸の痛み | 常に落ち着きがない、イライラする |
| 発汗、震え、めまい | 悪いことばかり考えてしまう(破滅的思考) |
| 筋肉の緊張、肩こり、頭痛 | 不安を感じる場所や状況を避ける(回避行動) |
| 不眠、疲れやすさ | 集中力の低下 |
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3. 主な治療アプローチ
不安症は、適切な治療を受けることで改善が十分に期待できる病気です。
1. **認知行動療法(CBT)**
不安を増幅させている「考え方のクセ」を見直し、少しずつ苦手な状況に慣れていく
(曝露療法など)ことで、不安をコントロールする力を養います。
2. **薬物療法**
脳内の神経伝達物質(セロトニンなど)のバランスを整えるSSRI(選択的セロトニン
再取り込み阻害薬)や、一時的に強い不安を抑える抗不安薬が使われます。
3. **生活習慣の調整**
十分な睡眠、カフェインの制限、適度な運動は、神経系の過敏さを抑えるのに
役立ちます。
上に掲げた2番目は、薬を用いた医療ですので、私たち自身でコントロールしたり、
できるものでもありませんが、1.と3.については、自分自身のセルフケアで
対処は可能です。しかし、「認知行動療法」、「生活習慣の改善」などと
言葉では、簡単に言えますが、それができるくらいなら、不安症などは、
発症しないのではないかと、意地悪く思ったりもしますね!
自然療法である、鍼灸(東洋はり)の立場から言うと、
不安症の発作が起きたときの対処法と、起きないようにする、起きにくい体にするというところで、区別する必要がありますね!
発作が起きてしまったときは、以下に掲げる対処法を試してみてください。
鍼灸で、改善をしたいという方は、まず、自分の今の状態を、自分自身でも、整理して、施術者の先生に正直に告白してください。
それから、起きにくい体にしていくという、少し気が長くなるような話に聞こえるかも
しれませんが、不安症のような病気は、発作があったからと言って、「一機一中」
するのではなく、鍼灸療法を続けることによって、発作の頻度を減らしていく、
発作の間隔を長くしていくということを、理解したうえで、取り組まないと、
治癒することは、難しいです。
、両方を
4. セルフケアのヒント
もし今、強い不安を感じているなら、以下の方法が即効性のある助けになることが
あります。
* **腹式呼吸:** ゆっくりと鼻から吸って、口から細く長く吐き出すことで、副交感
神経を優位にします。
* **グラウンディング:** 「今、ここ」に意識を戻すため、目に見えるもの5つ、
聞こえる音4つ、触れている感覚3つ…と五感に集中します。
**ツボ療法として、 内関、外関という手首にあるツボを片方の親指化、人差し指で、息を吐きながら押してみてください。押しているときに息を吐いていくことが、大切なポイントとなります。
内関、外関ともに、手首にあるツボで、 内関は手のひらを上にして、手首を軽く
曲げ、間接にできるしわから、親指、約二つ分肘寄りの部分です。
外関手のこうを上にして、手首をそらし、その関節のしわのところから、肘寄りに
親指2本くらいのところ、外側と内側にある骨が触れると思いますので、その真ん中
あたりを目安にしてください。
東洋鍼における、不安症を考察しますと、東洋鍼では、七條の乱れ、怒り(肝)、
喜び(心)、思い(脾)、悲しみ、憂い(肺)、恐れ、驚き(腎)という、5臓に
当てはめて考えています。
特に、恐れ、驚きは、腎がつかさどると考えていますが、五行理論における相生、相剋、複勝関係が、複雑に絡み合って、腎に影響を与えているといえます。
腎(恐れ、驚き)→心(喜び)→肺(悲しみ、憂い)
恐れ、驚きが強まると腎が侵され、その相剋かんけいにある喜びをつかさどる心が
抑えられて、うれしい、楽しい、面白いなどの感情が乏しくなってきます。
喜びの感情をつかさどる心が、抑えられてしまっていますので、その相剋にある悲しみ、憂いをつかさどる肺が、抑えられなくなり、過度に盛んとなりすぎて、
なんだか悲しくなったり、憂鬱になって、やる気が出ないという、悪循環に陥ります。
これは、あくまでも、5行理論における相剋関係から見た考察ですが、あながち、
現代生理学から言っても間違えではないのではないでしょうか?
> **大切なこと**
> 不安症は「性格の弱さ」や「気合が足りない」せいではありません。脳の防衛
システムが少し敏感になりすぎている状態です。
?
決して治らない病気ではありませんので、まずは、自分の症状と、真剣に向き合ってみてくださいね!