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身体症状症および関連症群(Somatic Symptom and Related Disorders)について東洋はり医学的考察

身体症状症および関連症群(Somatic Symptom and Related Disorders)について東洋はり医学的考察
今回は、身体症状症とそれに関連するものについて、考えていきましょう!

この疾患群は、痛み ?? や疲労感などの身体的な症状がきっかけとなり、それに対して**過度な不安や苦痛を感じ、日常生活に支障をきたす**状態を指します。
かつては「心身症」や「ヒステリー」といった言葉で語られていたものも含まれますが、現在は「実際に症状があるかどうか」よりも「その症状をどう捉え、どう反応しているか」という**心理的な側面**に重点が置かれています。

このグループに含まれる疾患は、以前は「心身症」や「転換ヒステリー」などと呼ばれていたものも多いですが、現在はその現れ方によって主に以下の3つに分類されます。

### 身体症状症および関連症群の主な分類

| 疾患名 | 主な特徴 |
| --- | --- |
| **身体症状症** ?? | 痛みやしびれなどの**実際の身体症状**があり、それに対して「重病ではないか」という不安や思考が過度に強くなってしまう状態です。 |
| **病気不安症** ?? | 身体症状はほとんどないか、あっても軽いものですが、「自分は深刻な病気にかかっている(または、かかるに違いない)」という**恐怖や思い込み**が主となります。 |
| **変換性障害** ? | 突然、目が見えなくなる、声が出なくなる、手足が動かなくなる(麻痺)といった**神経学的な症状**が出ます。検査をしても脳や神経に器質的な異常は見当たりません。 |
鍼灸院に来院される方では、この身体症状症や病気不安症は、しばしばみられるものですね!
身体症状症では、実際の痛みやしびれに対してのアプローチは、言うまでもありませんが、その症状から、気をそらせるように、患者さんを誘導していくことも、結構大切になってくると思います。
病気不安症については、病気に対してそのものの恐怖心や無理解、誤解があると思われますので、辛抱強く病気に対する認識を、正しい方向へ導いていく必要があります。

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これらの違いを理解するポイントは、**「何に対して一番困っているか」**という点にあります。

例えば、少しお腹が痛むとき、人によって反応が異なります。

* Aさん:痛みが気になりすぎて、一日中検索が止まらず、仕事に行けなくなる(身体症状症の傾向)。
* Bさん:痛みはほとんどないのに「隠れたガンがあるはずだ」と何軒も病院を回る(病気不安症の傾向)。


次は**2. メカニズムと原因**??について深掘りしていきましょう。

「検査では異常がないのに、なぜ痛みや麻痺が起きるのか?」という疑問は、本人にとっても周囲にとっても最大の謎ですよね。
最近の研究では、これは単なる「気のせい」ではなく、脳の**「情報の処理システム」の不具合**として捉えられるようになっています。

主なメカニズムを3つのポイントで整理しました。

### 身体症状が起こる3つのメカニズム

| 視点 | 内容 |
| --- | --- |
| **脳のフィルター機能** ? | 脳は本来、些細な体のノイズを無視しますが、過度なストレス下では「痛み」の信号を過剰に増幅して受け取ってしまうことがあります。 |
| **予測のバグ** ?? | 過去の経験や強い不安から、脳が「また痛くなるはずだ」と予測し、実際に刺激がなくても脳内で「痛み」の電気信号を作り出してしまう現象です。 |
| **感情の「身代わり」** ??? | 言葉にできないほどのつらい感情や葛藤が、脳を通じて「動けない」「痛い」といった身体的な症状に置き換わって表現されることがあります。 |

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特に**変換性障害**などの場合、脳内の「感情を司る部分」と「体を動かす指令を出す部分」の連携が一時的にうまくいかなくなっている状態(機能的なエラー)だと考えられています。

最後は**3. 向き合い方とサポート**??についてお話しします。

この疾患群の治療やサポートにおいて最も大切なのは、「症状をゼロにすること」だけを目標にするのではなく、**「症状があっても自分らしい生活を送れるようになること」**に焦点を当てることです。

主なアプローチとして、以下の3つの柱があります。

### 回復に向けた3つのアプローチ

| アプローチ | 具体的な内容 |
| --- | --- |
| **安心できる関係性** ?? | 医師や周囲が「あなたの苦痛は本物である」と理解し、検査で異常がないからといって突き放さない、安全な場所を作ることが第一歩です。 |
| **認知行動療法(CBT)** ?? | 身体の感覚に対する「最悪の事態(重病だ!)」という解釈を緩め、少しずつ注意を外に向ける練習を行います。 |
| **生活の再構築** ???♂? | 痛みや違和感があっても、無理のない範囲で好きな活動や運動を再開し、脳に「動いても大丈夫だ」という新しい学習をさせます。 |
私たち、鍼灸療法施術者にとっては、この「安心できる関係性」を、いかに患者さんと構築できるかということですね!
患者さんの中には、健康志向が強すぎるあまり、「マイナス」にとらえて、些細な症状に対しても過剰な反応をされる方が、多く見受けられます。
その一方、一部の患者さんでは、かつて、鍼灸療法」が、うまくいって、鍼灸療法を、過大評価されている方(我々施術者にとってはありがたいとも言えますが)では、
鍼灸や自然療法を信じすぎるあまり、病院への受信をしなかったり、ドクターを信用しないなど、専門家のアドバイスに、背中を向けてしまっている人もおられますので、「安心できる関係性」の構築は、なかなか難しいとも言えます。

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特に**認知行動療法**では、「痛み」という感覚そのものを変えるのではなく、その痛みに対する**「考え方のクセ」**にアプローチします。

例えば、「お腹が痛い → きっと大きな病気に違いない → 怖くて動けない」というサイクルを、「お腹が痛い → ストレスのサインかもしれない → 少し深呼吸して休んでみよう」と書き換えていくイメージです。

東洋はり医学的考察としては、身体症状症にたいしては、主訴を中心に不定愁訴の改善を主眼に置きながら、本証を立てなければなりません。
身体症状にのみとらわれると、「経絡の病床」に振り回されて、正しい本証を導き出せないことにつながってきます。継続通院の中で、
「本証」を立て、可能であれば、何回かは、それを繰り返し、行うことで、経過観察を行ったほうが、治療成功につながると思います。
病気不安症に対しては、「今のあなたの症状や、病気ではないこと」、「仮に病気であったとしたら、その病気を正しく認識させること」が、大切だと思います。
経絡調整としては、腎(志)、脾(思い)の相関関係が大きく影響していると思われますので、本証を立てるときの目安としてばかりでなく、表治法としても、心包経の用い方や、胆経、三焦経、胃経など(陽経)の、使い方が、大切ですね!
それと合わせて、奇経治療も、有効性があると思います。私は、後谷→申脈、申脈→後谷の気経灸を、よく用いていますので、施術者の皆さん、よろしければ、追試検討してください。

ここで、これまでの1?3の内容を振り返って、一つ考えてみてほしいことがあります。

もし、あなたの身近な人が「検査ではどこも悪くないのに、ずっと体が痛くて不安だ」と悩んでいたら、ここまでの知識を踏まえて、**どのような言葉をかけてあげるのが一番のサポートになりそうでしょうか?**

相手の気持ちに寄り添うとしたら、どんな一言が浮かびますか?

疾患や体調不良の知識