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証(あかし)決定のお話その4

主証となる経絡の決定

皆さん、こんにちは。先回第2段階で症状を経絡的に弁別して、いよいよ次の段階において、どの経絡が一番、治療をする経であるかを決定することになります。さあ、35枚目の扉を開けてみてください。

主証を決定するには、なんといっても脉診が最も大切な診察方法となります。

しかし、脉診のみで判断をしようとすると間違うこともありますので、第1段階、第2段階を、順に進めていき、ある程度の見通しを付けてから最後の決め手として脈診によって判断を下すのであります。

主証と脉位の関係

主証と脉位の関係は、難経69難の「虚すればその母を補え」という原則によって、虚が二つ並んでいる場合は、子の経を主証とするのであります。
また、「実するものはその子を瀉す」という原則によって、実の経が二つ並んでいる場合には、その母経にあたるものを治療目標にして行われます。

肺虚証ということで、説明しますと、肺の自分が虚、母の脾も虚、祖母の心は実、曾祖母の肝も実ということになります。これは、陰経を主としてたとえたものでありますが、陰系と陽経との間には、陰主陽従という特別な関係があります。陰経を主として脉証決定し、陽経はこれに従うということになります。

肺虚証の脉では、肺脾が虚でありますから、その陽経にあたる大腸・胃はやや実、心・肝が実でありますから、その陽経の小腸・胆はやや虚となります。

陰陽のつり合いが崩れて病症を表している場合がありますが、これを陰虚陽実証といい、肺虚証では、肺・脾の虚にたいし、大腸・胃に、浮・洪・弦などの実脉を表します。 間違った診断をくださないように、脉診とともに腹診が一致したものを判断基準にしていますが、脉診と腹診が合わないときには、一応脉診を優先させることになります。

このように、陰主陽従、補法優先という原則で行っていますので、主証決定は陰経の虚を目標として行い、よほどのことがないかぎり、陰経の実や陽経に主証を求めることはありません。

陰陽5行の、相生、相剋および勝復関係が理屈ではなく実際の治療においても活用されているということになります。
これが診断は「陰陽」、治療は「5行」という、東洋はりの最も柱となっているものであります。

今回はこの辺でお話を終わらせていただきます。