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経絡治療由来と沿革
さあ、4枚目の扉を開いてみてください。
先回までは鍼灸術の大まかな歴史と現在行なわれている鍼灸術の実際について、ご説明いたしました。
今回からは当院で行なわれている経絡治療(けいらくちりょう)という治療法についてご説明し、一人でも多くの方に経絡治療というものをご理解いただけるようにお話しを進めていきたいと思います。
経絡治療は中国古代の黄帝大経素門霊数/難経という古典に残る数千年の伝統を正しく伝えるもので、決して、一流1派の治療術ではありません。
陰陽5行/気血栄衛/臓腑経絡説によって行なわれる治療法です。(根幹と誌脈診/証/ほしゃは、後ほどこの欄でご説明する予定です)
経絡治療は1939年(昭和14年)ごろ、岡部素道、井上恵理、本間祥白の三先生によって唱えられたもので、西洋医学に刺激理論の局所的な鍼灸術と区別するために用いられた名称です。
わが国では奈良/平安/鎌倉時代の鍼医術から江戸時代のけんぎょう鍼医の学術を広く取り入れながら発展してきました。
しかし、明治初年には、西洋医学が中心となり、ついにわが国の伝統医学は排斥され、全ての医療が西洋医学を基本とするものになりました。
その結果、鍼灸術も刺激理論を基礎に行なわれるようになり、伝統的な鍼灸術とは全く異なるものとなってしまいました。
明治初年までは鍼灸術といえば、全て「経絡治療」であり、漢方医学でありましたから、あえて「経絡治療」などという必要はなかったということになります。
岡部素道、井上恵理、本間祥白三先生を中心に古典を再検討し現代の治療に合わせた技術の開発が行なわれ、日本全国から志を同じくする鍼灸師の仲間が集まり、昭和34年には、福島弘道先生を中心に視覚障害者にも経絡治療をということで、東洋はり医学会が創立され、1000名余も越える会員が海外までも経絡治療で鍼灸術を行なっております。
今回はこのくらいで失礼させていただきますが、次回からは経絡治療の内容についてご説明させていただく予定です。