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便秘の症例

はり灸で便秘・お通じの悩みを改善

便秘の症例の症例をご紹介いたします。文字背景にピンク色がある用語は、本文末尾に簡単な用語説明を記載いたしておりますので必要に応じてご覧ください。


1例:患者 男性 58歳 溶接工

来院時の状態:
腰痛と便秘。この患者さんは腰椎ついかんば湾ヘルニアと診断されていて、腰痛もひどく、便秘でも内科にかかっている人でした。
病院では腰痛が治らないと便秘は治らないと言われていたようです。
腹は硬くてへそ周りに力がなく、隠居内熱(体の熱を冷ます力が弱くなって内臓に熱が溜まってしまい、汗があまりうまく出ない状態)と診ました。
治療方針(証)
証は全身の気を行き渡らせる目的と腸の神経の働きを促す目的の治療方針(肺/肝相剋調整)で左手首の外側と/左足親指にあるつぼに補方。右膝内側のつぼに補方。それから胃と大腸の働きを改善させる経絡を調整しました。
へそ周りのつぼと腰部を中心にはりを行い、このような治療を行い4回目に少し便通があるようになり、途中、便秘で切なくなったりしましたが、20回(3ヶ月を過ぎた頃)から便通も安定し始め、腰痛はほとんど改善されました。途中から右公孫/左内関にきけい灸を加えました。

このような慢性的な便秘でも治療を続けていけば、改善されてくるものだと私自身も改めて認識出来ましたし、腰痛が先か、便秘が先かは別として、腰痛などの痛みの病症であっても、腸の働きと密接な関係があることをわかっていただけると思います。


2例:患者 女性 27歳

来院時の状態:
腰痛、胃痛がありました。今までの経過としては、来院された前の週木曜日に腰が痛くなり寝返りや立ち上がりなどで痛みがあるとのことでした。
そのほかの症状として生理不順(生理が遅れ勝ち)、動悸、生理前のいらいら、頭が重い、胃がつかえる感じ、鼻がつまる、鼻水が出る、手足が冷える、喉が渇く、食前食後ともに胃が痛くなる。便通は1週間ないこともあるとのことでした。
既往症としては、中学生のころからアレルギー性鼻炎で最近は花粉症でもあるとのことです。体の状態は腰部の熱感。肩上部の凝り。手の平に汗をかいていました。
脈は沈んでいて弱い。お腹は、冷たく弾力性がありませんでした。特に臍の周りが硬く張っていました。
治療方針(証):
まずは、一番症状である腰痛を取る目的で、肺・肝相剋調整という証をたてました。手足の穴に鍼をした後、肩・背中・腰に鍼をして1回目の治療は終わりとしました。
また、甘いもの、脂っぽいものを好むとのことでしたので、少しそれを取り過ぎないように意識して食事をしてもらうことにしました。

2回目より、臍の上にある水分穴に知熱灸を加え、骨盤の血流の改善のため、腿の付根(ムノ部)にも知熱灸を行ないました。3回目から5回目は、便通がまだ1週間に1回くらいであるとのことでしたので、水分穴に換えて、左右の三陰交に知熱灸を行ないました。

6回目ころより便通がある日が多くなり始め胃痛も少なくなってきました。左公孫穴にも知熱灸を行ないました。9回目治療1ヶ月半くらいで毎日便通があるようになり、腰痛胃痛も改善されましたので、12回の治療で終了といたしました。

生理がまだ遅れがちで、もう暫く鍼を続けていただきたかったのですが、主訴の腰痛・胃痛と慢性的な便秘が取れてくれたので、良かったと思います。

このように、初めは腰痛という違う症状であっても、続けることによって、慢性の便秘まで治っていくこともありますので、便秘でお悩みの女性の皆さん、諦めずに治療をしてみてください。


用語説明:

証(あかし)
東洋鍼灸治療では、治療を進めるにあたり、証(あかし)を決定します。証とは、体のどのつぼに鍼やお灸をするのかを決定する、治療方針のことです。
きけい灸
きけい治療(灸)とは、経絡治療の中の一つの治療方法で手と足からそれぞれ一つずつ、つぼを選んで組み合わせ、鍼の材質や灸の数に差をつけることによって、プラスとマイナスの働きを利用した治療法。