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逆子の症例

逆子の治療には副作用のない安心の鍼灸治療

逆子の症例をご紹介いたします。文字背景にピンク色がある用語は、本文末尾に簡単な用語説明を記載いたしておりますので必要に応じてご覧ください。


1例:患者 30歳

来院時の状態:
妊娠29週目で逆さ子と診断されていました。経過としては、初めての妊娠で初期には、つわりはあったが、今は食欲もある。肩凝りで上せやすく、足が冷える。
その他の症状としては、眠れない・頭が重い・手足の冷え、汗をかきやすい、甘いものを食べたがるなどでした。
お腹は割りと温かくまだ目立って大きいという感じはありませんでした。脈は沈んでいてやや速く弱い。
治療方針(証)
治療は腎虚脾の和法という証を立て手足の穴にはりをした後、頚肩を中心に鍼をして最後に左右の三陰交に知熱灸を行ないました。

2回目の来院のときかなり前回の治療で胎児が動いていたとのことでした。治療は腎/脾相克という証を立てて行い、後は前回と同じ治療をしました。

治療後、検診で逆さ子が治まっていたとのことでしたので、完治としました。


2例:患者 32歳

来院時の状態:
妊娠31週目で1ヶ月くらい前から逆さ子と言われていた。16週目頃より吐き気は治まっている。妊娠前から体重は7キロ増。めまい、足のむくみがある。
体の状態は、皮膚は滑らかで手足にむくみがある。あまり胎児が動かない。左側に胎児の頭がある。脈は、沈んで速く弱い。その他は、頻尿、目覚めやすいとのことでした。
治療方針(証):
治療は腎虚脾実証という証を立てて足と手の穴にはりを行い、左頚と背中にはりをした後、左の三陰交と、右足の小指の頭に知熱灸を行ないました。
治療後は胎児が動いていますが、まだ頭が上側に移動してくるようでした。

途中、証を肝きょ脾実証に換えたり、知熱灸の三陰交を右だけにして見たりしましたが、6回目まで戻らなかったため、証を脾/肝相克に換えたところ、次の検診(37週目)で戻ったとのことでした。あと2週間後には帝王切開の予定でしたので、私も患者さんもほっと一安心でした。

予定日の前週まで治療をして、翌週無事出産することが出来たそうです。

普通は5から6回やっても治らず、病院では帝王切開の手術日まで予約させられると、鍼治療をあきらめてしまいがちですが、その患者さんは帝王切開のぎりぎりまで、はりを続けてみたいと思っていたらしく、あきらめないで通院して頂いた結果だと思います。


3例:患者 36歳 会社員

来院時の状態:
妊娠32週目で逆子となっている。3年前に一人目を出産。もともとやせ方である。腹部は小さめであり、赤ちゃんも小さいそうであるが、そのわりには余裕がない感じでした。
皮膚は全体的に温かい。そのほかの症状としては、肩こり・低血圧・眠りが浅い・手足の汗・便秘・喉の渇き・足のむくみなどがありました。脈は浮いていて速く弱い。
治療方針(証):
治療は腎・脾の和法という証を立て、右足の復溜・右腕の尺宅というつぼに補法。左足の皇孫というつぼに瀉法を行いました。

肩背中に鍼をした後、足首の内側にある三陰交というつぼを左右比較して右側を治療点として鍼と灸を行いました。

その後、証を脾虚、肺虚などに換えて行い、4回目の治療後、5回目の予約日で、検診の結果、逆子が性上位に戻っているとのことでしたので、念のため、治療を行い、それで終了としました。


4例:患者 30歳 主婦

来院時の状態:
始めての出産で妊娠33週目、便秘、寝つきが悪い、足の冷え・のどの渇き、赤ちゃんの頭がへその上にありました。
体の状態は、皮膚は温かく手足のむくみもそんなにはありませんでした。脈は浮いていて弱い。
治療方針(証):
肺虚間実証という証を立て、右手の太淵・右足の太白に補法。左太衝に瀉法。左手の陽池に補法を行い、背中腰に鍼をした後、右三陰交に鍼。左右三陰交に温灸を行いました。

週に2回ほどの通院をしていただき、4回目の来院の時には逆子が戻っていました。

念のため、3回ほど鍼を続けてもらい、無事出産されました。


5例:患者 29歳 主婦

来院時の状態:
初めての妊娠で、33週目、赤ちゃんの頭がへその上にあり、足を突っ張っているような状態であまり動きがありませんでした。
そのほかの症状としては、手足の冷えむくみ・便秘・寝つきが悪いとのことでした。脈は沈んでいて、遅くわりと強い。
治療方針(証):
肺虚肝実証という証を立て、右手の太淵・右足の太白に補法を行い、左の太衝に瀉法を行いました。
左足の光明というつぼに瀉法を行い、頸肩背中に鍼をした後、左右の三陰交、左右の至陰というつぼを比較して右側を治療点として、それぞれ温灸をおこない、右三陰交に円皮鍼というシールのついた鍼を貼って帰宅していただきました。

初診時に既に帝王切開の予定日が決められているということで、時間に余裕がなく、しかし、本人がなんとか鍼で治ればということで、ほぼ毎日通院してもらうことにしました。

証は脾虚証や肝虚証などに換えながら治療を続けました。治療後はよく胎児が動くようでしたし、足のむくみも改善され、眠りも深くなってきましたが、9回目の治療後、産院で加外転法をしてもらい、逆子が返りました。

逆子は鍼の力だけでは治らなかったものですが、患者さん本人が出産まで鍼を続けたいとのことでしたので、継続していただき、予定日より1週間ほど早く陣痛が起こり、無事自然分娩で出産されました。

このように逆子は治らなかったものの、安産にも鍼灸は効果がありますので、ご紹介させていただきました。


用語説明:

証(あかし)
東洋鍼灸治療では、治療を進めるにあたり、証(あかし)を決定します。証とは、体のどのつぼに鍼やお灸をするのかを決定する、治療方針のことです。

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