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新潟市の泉心道鍼院よりメッセージ
2004年2月綱領解説
2010年9月24日
綱領解説
2004/02/22 今泉聡
参考資料
衛生業務報告 あはき師の数(平成14年)
按摩マッサージ指圧師 97313人
鍼師 73967人
灸師 72307人
業務種別施術所数
あはきを行なう施術所47パーセント(32722箇所)
按摩マッサージ指圧を行なう施術所29パーセント(20772箇所)
鍼灸を行なう施術所20パーセント(14008箇所)
その他4パーセント(2948箇所)
「我々は正しい経絡治療の学理と術技を習得することによって」とあります。「正しい」とはどういうことでしょうか?「正しくない」経絡治療は存在するのでしょうか?
日本には多数の学術団体が存在し、とかく少数派と言われる経絡治療を基礎とする団体も多数あります。特に古典に基づく治療法をしていて脈を捕る治療法もあちこちに見られるようですが、脈を捕っているばかりで実際に鍼をするときには、経絡経穴を調整する治療ではなく、あくまでも刺激点としての
経穴の運用や虚実をわきまえない経絡の調整をして、それを経絡治療だと声高にいっている輩が多いようです。
本会では脈診はもちろんのこと、押し手の手さばきによって補法瀉法のの使い分けをしていますし、経絡治療の真髄として経穴の運用によって補瀉を行なっています。まだまだ研究し臨床運用しなければならない点が多ものですが、
「正しい」経絡治療に近づきつつあり、けっして穴を使えば経絡治療であるなどと誤解してはいけません。
次に「鍼灸人としての人格と実力を涵養し」とあります。
これは大変難しい。鍼灸人としてを医療人としてのというのと置き換えても良いと思う。
次の社会的地位ということと関係していくことだが、なんといっても世間では鍼灸師などというのは、医療人などという認識がほとんどないようにも思えるし、医療としての一分野であるという認識ですら思われていないように思う。
医療というのは一般的には保険医療器官を指すものであり、病院にせよ歯医者にせよ保険が利くものを医療と捕らえる向きがあるのではないかと感じます。
そのように考えるとやはり鍼灸も保険を取り扱うことがますます重要で、いろいろな考え方があることは私も承知していますが、我々鍼灸科も保険を取り扱うように積極的に活動をしていかなければなりませんし、
「保険なんか面倒だし鍼灸を良いと分かる人は保険なんか利かなくても
かかりに来るからそれでいいんだ」という従来からの鍼灸師の、あえて言えばプライドをどう捨てさせるかが、今後の過大だと思います。
一人でも多くの患者の病苦を取り除きたいというのであれば、
一歩譲って医療としての鍼灸という観点に立ち、
保険取り扱いをする鍼灸院になられんことを考えてみてはいかがでしょうか。
考え方や生き方の問題はそうは言ってもそうそう、変わるものではありませんし、
換えさせるなどとは「大きなお世話だ」と言われそうですが、それならばせめて
鍼灸も同委書があれば
6疾患にたいしては健保が使えることを説明し、しかるべき治療院に紹介をするなど、患者の要望にそった対応が出来るよう、心がけていただきたいと思います。
最後に「鍼灸科の社会的地位を確立せんことをきす」とありますが、
病因で行なわれていないのが鍼灸の実状で、実際にはマッサージをする、リハビリーの補助をするということで、雇用されているというのが実状です。
又、近年介護保険制度導入により、「ケアマネージャー」や「機能訓練指導員」としての分野に道が開かれ、そちらの方面に進鍼灸師も多くなってきました。
このことは医療の一分野を担う鍼灸師の社会的地位の向上につながっていると考える業界の向きもありますが、私はそうは思いません。
鍼灸師はあくまでも鍼灸をすることによって、患者を治す、救う。おくがましいけれど、
それを生業にする職業です。
その考えをしっかり持っていないと道を外れることになりますよ。
もう一つ付け加えれば、鍼灸イコール按摩マッサージ指圧イコール盲人。という構図が残念ながら一般の方々のみならず、我々鍼灸師の中にも根強くあります。
この認識が変わってこない限り、鍼灸科の社会的地位などは確立されないと私は考えます。
業界や学校でも必ずあはき師という言葉で
一括りにされていますし、
とかく晴盲の比較としょうして
そのデータがよく出てきますが、普通で考えれば、晴眼者で当たり前。盲人が少数で当たり前なんです。視覚障害者の職域を守る運動は大切ですが、それだけに縛られていてはいけない。
実力のないものは晴盲問わず脱落することは必定です。
そのためにも
鍼灸師と
して経絡治療鍼専門化としての技術レベルを高めていくということは今更ながらいうまでもありません。先ほど説明した20パーセント5軒に1軒
の鍼灸院が、25パーセント、30パーセントとなっていくことを期待します。(副支部長)
2004年2月新潟支部定例会において
追記
これは東洋はり医学会の第2番目の綱領を解説したときの発表です。この時点では本院でも少ないながら保険取り扱いを行なっていました。しかし、保険対象疾患が神経痛/腰痛/リウマチ/頚腕症候群/50肩/ムチウチによる後遺症と限られ、医師の同委書に基づいて行なわれるという制限があり、又同一疾患で鍼灸と医療併用が認められないなど不備が多くあるため、2008年からは本院では保険は取り扱っておりません。保険を取り扱うよりも自由診療で料金を半額にしてどの疾患であっても症状に対しても安くすることでかかりやすくなり、6疾患に制限されることなく、鍼灸を皆さんからかかっていただいたほうが、私にとっても患者さんにとってもより有意義であると思って今は行なっています。
しかし、このころの思いには変わりなく、医療器官である鍼灸院は、保険を使える様になってこそ医療として一半世間から認めていただけるのではないでしょうか。
これから開業される鍼灸師のみなさんには、出きるだけ保険取り扱いをしていただきたいと思いますし、一部とはいえ、健康保険で鍼灸がかかれることを患者さんにも教えてあげてください。
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