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新潟市の泉心道鍼院よりメッセージ

経絡治療要綱誤治調整の解説

2010年10月20日

誤治調整の解説

本文

『誤治を招いた場合には経絡説に従って、診察診断治療に渡りその経過を検討しなおすならば必ず不良面が抽出され、それに即応して修正治療を加え治癒に導くことが出来る。一定の理論もなくあれこれと自己流の治療を行なったり名人大家の秘伝名灸を使用してドーゼを過ごした場合には、「乱鍼」といって誤治と区別している。』

誤治調整には、主証の正否/主穴の適否/ドーゼの多少/表治法のいかんがある。

主証を取り違えたばあい

本文『恐ろしい逆反応が現れ、病状が増悪するとあるが、体質によってはあまり変化のないばあいもあるし、補瀉の技術が未熟であいまいな場合は主証を取り違えてもたいした変化は起こさない。』

柳下先生は先回の講義で証の間違えに気付いたときは、相剋する経を処置するほうが良い。やり直しをすると2度同じ経絡を弄り、1度弄った鍼の影響力は体に残っているので、しないほうが良といわれた。

主穴の適否

本文『要穴の5行的性格や病症的性格。元/隙/絡穴の特徴を考えて再検討し、法則に適合した最も合理的な選穴を行なう。』

ドーゼの多少

本文『疲れ/動悸/眠け/目眩とうをきたし、諸症状は増悪し

発熱おしんとうをきたし、時に苦痛が激しくなって全く動けなくなる。ドーゼを過ごした場合は、脉症を見直し処理している経に円鍼を施し項頚部背部等を撫でさするとある程度感解する。三里/ちゅうかん/関元/天柱/風池/百会などにごく静に補うことで気分がある程度落着く。逆に、ドーゼが足りない場合は、要鍼を太くするか深度を深くして時に刺鍼の時間を長くする。』

表治法のいかん

本文『主証/主穴/ドーゼが適切であっても理患部への表治法が適切でないと予期した成績を上げることが出来ない。特に、慢性症の治療に当たっては、表治法に特別な工夫を払わないと治療日数がかかり過ぎ不成功に終わる。経絡体型の中で、しご/奇経/ナソ/しらくという救急法がもちいられる。』

脈状に応ずる手法

本文『これは、寒熱、虚実にたいする整脉力ということになる。「暑熱を刺すは手にて湯をさぐるがごとく。(早手刺し)、寒せいを刺すは人の行くことを欲せざるがごとし(入念型か留置鍼となる)」

その脈状によって手技手法を正確に使いこなさなければならない。虚実を正しく把握するためには、脈状を血と気にわけ、更に、風/暑/飲食労健/寒/湿の5邪に従って脈状観察をして、その手技手法を施して行なう。

更に、弾脈のごとき特殊脈を捕らえ、

これを陽に浮かせて処理することも真に重要である。

これらがおろそかにされるときは、成績不良となるばかりでなく、時に大きな誤治を引き起こすことさへもある。』

私が臨床で行なうこと

1 脈が開いたとき、一番開いてしまった陽経を経に逆らってなでる。(胆/胃など)

2 胸がどきどきしてきたものには、内関あるいは外関を静に補う。

3 皮膚が薄いもの、心下部が鋭角な人は、ドーゼに注意する。

4 気の流れが速いものには、球の大きく長いてい鍼を使用するとゆっくりとした脈になる。

5 病症が陽分にあるものは、治療後、痛みが騒ぎ出しても誤治とは判断しない。(熱も同様)

6 患者の訴えのみで正治か誤治かを判断するのは危険である。皮膚の状態と脈状で判断すべきである。

7 円皮鍼/皮内鍼/銀粒などの貼付は、柳下先生は「治療をしたという証拠を残さないようにしたいので、つけては帰さない」といっている。そのようになりたい。患部よりやや離れたところで反応を見つけ貼ったほうが良いようである。

以上、誤治にたいする解説をいたしました。

2006年9月24日新潟支部定例会において 学術指導員 今泉 聡

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